おちか、ついに母となる。宮部みゆきのライフワーク、待望の第九弾!
行く当てのない女達のため土から生まれた不動明王。悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ家族を守る人形。描きたいものを自在に描ける不思議な筆。そして、人ならざる者たちの里で育った者が語る物語。
恐ろしくも暖かい百物語に心を動かされ、富次郎は決意を固める──。
おちかのお産が無事に終わるまで百物語をやめようと決め、いよいよおちかのお産が近づいてきます。おちかはたくさんの人に守られて大切にされているんだなぁということが分かり、温かい気持ちになりました。おちかが産気づく前にと語られた「青瓜不動」女一人でお寺に住み畑を作り、訳ありの女性たちが駆け込むようになった洞泉庵。そこで大事にされているうりんぼ様とは。おちかのお産が無事に済んで良かった。みんなが目に入れても痛くない可愛い子なんだろうな。
再開した始めのお話が「だんだん人形」だんだんって方言は朝ドラでもありましたね。このお話に登場するお話は本当に辛いものが多くて読んでいてもずしっときます。おびんちゃんも勇さんも不憫すぎて辛かった。「自在の筆」のお話を聞いたことで絵師になりたいという富次郎の心に変化が起きます。「針雨の里」の話を聞き、やっぱり絵を書きたいと涙する富次郎。次作で富次郎は自分の気持ちと向き合ってどうするか決めるのでしょうか。楽しみにしています。
<KADOKAWA 2023.7>2023.10.9読了