ホテル・カイザリン
近藤 史恵
光文社
2023-07-20


クラスメイトの稚拙な行動の理由。パリに降り立った彼女の秘めた思い。甘やかに秘密を分かち合う2人の女。宿命的な死に蝕まれた村…。隠された真実に気づかせてくれる作品集。表題作など、全8編を収録。

ホテルにまつわる連作短編集なのかと思ったら違いましたね。しかも途中で読んだことがあるな…と思い、調べたら8作品中4作品は既読でした^^;しかも表題作も読んでいた。全然覚えていない…。
「降霊会」学園祭でクラスメートがペットの降霊会をすると聞き、嫌な予感がして観に来た「ぼく」
「ぼく」が1週間学校を休んでいたのは妹が亡くなったから。それを「ぼく」のせいだと思ったクラスメートの復讐のようなものだったのですが思わぬ方向へ向いていきます。この感じ、近藤さんっぽいですね^^;
「金色の風」「シティ・マラソンズ」で既読でした…が。13年前なのですっかり忘れていて良い作品だなぁと思いながら読みました。
「迷宮の松露」仕事に疲れモロッコにやってきた「私」。心も体も癒されつつあるが、1年間一緒に暮らした祖母の夢をよく見るようになり、それがくるしかった。ある日、偶然道に迷って困っている日本人夫婦を見かける。
松露という和菓子、食べたことがあるようなないような…ですが^^;松の露という綺麗な名前ですけど茸が由来とは知りませんでした。面白いですね。
「甘い生活」「アンソロジー 隠す」で既読。ですが6年前に読んだのですっかり忘れて(略)当時の感想でも同じこと書いてますけど、主人公の女性が最低でしたね。お姉さんよく一緒に暮らしていたな…
「未事故物件」「アンソロジー 迷-まよう-」で既読。こちらは覚えていました。この作品を読んで「あれ?」と思ったんですけども^^;私も一人暮らしだから、他人事とは思えないと思って覚えていたのかもしれません。
「ホテル・カイザリン」「アンソロジー 嘘と約束」で既読。読み進めていくうちに思い出してきました。最後のオチが怖すぎました…
「孤独の谷」大学で教えている「私」の元にやってきた学生がかつて住んでいた村にはある噂があった。
噂の正体は辛かったですね。そして最後に判明した真実にも。でも本人はたくさん話せて嬉しかったと言っていたから、そこまで責任を感じなくてもいいんじゃないかな…とも思いました。
「老いた犬のように」主人公は老齢の小説家の男性。読み進めていくうちになんだか気持ち悪いなこの男と思っていたらやっぱり気持ち悪かったです(笑)自分がしてきたことを1ミリも悪いと思っていないところとか虫唾が走りますね。読み終えてタイトルを改めて見て笑っちゃいました。

<光文社 2023.7>2023.8.28読了