現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。
このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。
彼の名は、オーブリー・ビアズリー。
保険会社の職員だったオーブリー・ビアズリーは、1890年、18歳のときに本格的に絵を描き始め、オスカー・ワイルドに見出されて「サロメ」の挿絵で一躍有名になった後、肺結核のため25歳で早逝した。
当初はフランス語で出版された「サロメ」の、英語訳出版の裏には、彼の姉で女優のメイベル、男色家としても知られたワイルドとその恋人のアルフレッド・ダグラスの、四つどもえの愛憎関係があった……。
退廃とデカダンスに彩られた、時代の寵児と夭折の天才画家、美術史の驚くべき謎に迫る傑作長篇。
山田五郎さんのYouTubeを時たま見ているのですが^^先日オーブリー・ビアズリーについてお話をされていて、こちらの作品のことにも触れられていたので気になって読んでみました。
ビアズリーは「サロメ」の挿絵で有名ですが、私はこの作品しか知りませんでした。
そして早逝だということやオスカー・ワイルドとの関係性などもあまり詳しくは知らなくて、五郎さんのお話を聞いてそうだったんだ…と知った次第です(笑)オスカー・ワイルドといったら私は「幸福な王子」しか知らないのですが^^;何か…色々あった人だったんですね←
幼少のころから肺結核を患っていたビアズリーは常に死が頭の中にあったのだと思います。そんな中絵を見出されて脚光を浴びたこと自体は悪いことではなかったと思います。
物語が姉のメイベルというもの面白かったです。
<文藝春秋 2017.10、2020.5>2023.8.7読了