ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。
ストーリーがぶっ飛んでいるので気になっていました。面白かったと言っていいか分からないけど、面白かったです。まず永野さんの印象がまるで違う。役作りもされていたそうで、女優さんって凄いなと思いました。永野さんと奈緒さんって5つも年齢が離れているんですね。そんな風には感じませんでした。同級生としての友人に見えました。シイノトモヨはブラック企業に勤めているけどそこで思い悩んだりしているわけではなくて、結構飄々と暮らしているような気がしましたけど、これはこれで悩んで死んでしまう人もいるだろうな…私は無理だな。と思いながら見てましたが。
一方でマリコのことは面倒くさいと思いつつも本当に大事な人だったんだろうなということが旅路を見ていてひしひしと感じました。マリコがシィちゃんにべったりになってしまうのは分かる気がします。マリコは幼いころから虐待を受けていて、それが長く続いていたからかどんどん壊れていって。ちょっとイラっとしつつも痛々しくて、そんなマリコをシィちゃんが放っておけないって言うのも伝わってきて。
シィちゃんは、マリコが行きたいと思っていた場所へ連れて行ったわけだけど、私は別に死ぬつもりはなかったんじゃないかって思っていたのですが、最後の「恥ずかしながら戻ってきました」っていうセリフから、やっぱり死ぬつもりだったのかって思いましたよね(遅い)
マキオが不思議な人で、でもさりげなく優しくて、あぁ、この人はきっと、過去に死のうと思った人なんだろうなと思っていました。やっぱりそうだった。死にたいと思っている人に、さりげなく言う言葉が優しくて温かくて、涙が出ました。
死んだ人に会うためには自分が生きていくしかないって矛盾してるけど凄く重みのある言葉で、2人で電車を待っているシーンはとても素敵でした。でも、最後の別れ方がものすごくあっさりしていて笑ってしまいました。感傷より食(笑)ただ、マキオが言ったようにちゃんと寝て、ちゃんと食べないとどんどん悪い方へ考えが及んでいってしまう。食べることは生きること。だから、マキオがくれたお弁当を「うまっ」と言って笑顔で食べているシーンを見て、生きようと思ったんだなと思えてよかったです。
最後の手紙にはなんと書かれていたのでしょうか。泣くかと思ったら笑っていて、なおさら気になります(笑)そして、ちゃんとおばさんに感謝するんだよ。色々と!とも思いました。
今回はW座からの招待状でしたけど、エピローグで語られる信濃さんのエピソードが面白すぎてびっくりしました(コピーバンドの話とか、午前2時に橋の真ん中で倒れている女性に「大丈夫ですか?」と言って「大丈夫に見えます?」って言われた話とか)