自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。
麻子の中学時代から社会人までの長い時間が4つの章に別れて描かれています。
特にティーンの時代の繊細で上手く言葉に出来ない感情を宮下さんは綺麗に文章に表されているなと思いました。麻子の七葉に対する想いも、友達に対する想いも、共感できるところがたくさんありました。
私が好きだったのは社会人になってからの麻子でした。自分は何がしたいのか分からず、でも目の前の仕事に邁進する姿は素敵だなと思いました。自分は好きではないからと言って仕事があまりできないと思っている。それがもどかしかったです。靴屋で戸惑いながらも働き、2年しかいなかったのに電話を掛けたら喜んでくれる人たちがいる。それが答えなのだと思います。買い付けに海外に行った時の麻子はキラキラしていてかっこよかった。社内での評判と全く異なる茅野という存在もまた面白くて良かったです。家族について、母親について、自分の中でくすぶっていた感情が大人になってちゃんと理解できるようになって本当に良かった。
茅野が大好きで通っていた古物店が自分の実家なんて運命的過ぎる。その場面を読んでいるときは一人ニヤニヤしながら読んでいました^^;
素敵な物語を読むことが出来て良かったです。
<光文社 2007.1、2009.11>2023.6.28読了