オール・ノット
柚木麻子
講談社
2023-04-18


友達もいない、恋人もいない、将来の希望なんてもっとない。
貧困にあえぐ苦学生の真央が出会ったのは、かつて栄華を誇った山戸家の生き残り・四葉。
「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」
彼女に託された一つの宝石箱が、真央の人生を変えていく。
今度の柚木麻子は何か違う。
これがシスターフッドの新しい現在地!

苦学生の真央がアルバイト先で出会った山戸家の生き残りである四葉。
年齢も境遇も違うのになぜか気になる存在となり、四葉と話をすることで、今まで知らなかった世界が広がっていく。
真央がみるみる変わっていったので良かったなぁと思いつつ、でもページ数はまだあるな…と思ったら四葉と関わった女性たちに順番に主人公が変わっていき四葉との出会いを話していく展開でした。真央以外は回想で真央が話を聞いているような感じでしたが。
舞と同様に私もミャーコのことは好きになれなかったなぁ…ちょっと…自由奔放過ぎるしガサツすぎるし人のこと気を使わな過ぎじゃない?なぜそんなにモテるの?←
山戸家に何があったのか、読んでいくうちに分かっていきますが、一葉と四葉が決断したことは素晴らしいと思います。今ならちゃんと戦える気がするけど、10年前だったら確かにそんな感じだったかもなぁ…と虚しくもなりました。
「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」この台詞が胸に突き刺さります。
でも、四葉の今の凛とした佇まいは素敵で、私も近くにいたら一緒にいて色々知りたいと思うかもしれません。
途中から四葉自身は登場しなくなるのにずっと存在が残っているのが凄いですね。
真央が歳を重ね、生きるのが大変になっていく世の中で同じような境遇の女性に出逢い、四葉と同じことを返していく。それも良い展開だなと思いましたけど、最後の四葉が最高すぎました。元お嬢様なのにやってることがロック過ぎましたよね。面白かったです。

<講談社 2023.4>2023.6.22読了