俳句と小説の新しい出会い。17音の奥に潜む繊細で彩り豊かな12の物語。
宮部みゆきが深い洞察力と鑑賞力で12の俳句から紡ぎだした玉手箱。社会派からホラー、SFに至るまで、あらゆるジャンルに足跡を残してきた宮部文学の新たなる挑戦!
あらすじ等を知らないで読み進めていたのですが、宮部さんが友人を誘って立ち上げた「BBK」こと「ボケ防止句会」。そこで作られた俳句を題材にして、短編小説が作られたということだったんですね。
俳句も1句も聞いたことがないなぁなんて思っていたんですよ(笑)読み終えてから謎が解けました。
それにしても友人だとは言え自分が作った俳句に宮部さんが短編を書いてくれるとかそんな嬉しいことあります?素敵すぎますよね。
内容は結構イヤミスっぽいものが多かったけど…^^;読んでいて辛いものとか時代錯誤なこととかホラーっぽいものもありました。なので私は割とハッピーエンドで終わったのを良かったと思いたい(笑)
「プレゼントコートマフラームートンブーツ」の若い女性と小学生のやり取りが好きでした。
「窓際のゴーヤカーテン実は二つ」は同僚が本当に人として終わっている酷い人だったけど、夫婦仲の良さに救われました。
「山降りる旅駅ごとに花ひらき」の次女春恵がなぜここまで虐げられなければならないのか意味が分からなかったけど、遺産を残した祖父の秘密が分かってこっちまで愉快な気持ちになりました。これからは下り坂を穏やかに生きていってほしい。
「薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ」廃墟で出会った幽霊との会話が良かった。取り返しがつかない状態にならなくて本当に良かった。
「冬晴れの遠出の先の野辺送り」亡くなった兄の弔いのために火葬場へ向かう途中で出会った女の子との会話がとても良かった。
<角川書店 2023.4>2023.5.28読了