1961年、イギリス北東部でつつましく暮らす60歳の老人、ケンプトン。楽天的な理想主義者の彼は、年金生活の高齢者のために公共放送のTV受信料を無料化せよ、という社会運動に熱心に取り組み、そんな彼の活動を、妻のドロシーや息子のジャッキーは半ばあきれながら傍観していた。ある日ケンプトンは、ゴヤのたった1枚の絵画の購入に14万ポンドもの多額の税金が投じられたことを知って憤り、その絵を盗むことを決意する。
ぶらぶら美術・博物館でマリ子さんが絵画や画家に関する映画をたくさん観ていて、そんなにたくさんあるんだ!と驚き、私もみてみたいと思ったときにWOWOWで放送されていたのがこちらの作品でした。…って、ゴヤの絵についてはほぼ全く触れられていなかったんですけど(笑)
それよりなにより、この作品がほぼ実話ということに驚きましたよね。そして監修は主人公のお孫さんだというから驚きです。この事件から50周年となった時、色々取り上げられて、あることないことないこと言われたらしく、それならちゃんと映像化させようと思ったそう。面白い。
主人公のケンプトンは前半は頑固者で面倒くさそうなじいさんだなと思いながら、多分気持ちは奥さんと同じような感じで観ていたと思うのですが^^;後半はそのウザいと思っていた演説に引き込まれていくんだから不思議です。
それでも罪は罪なわけで、それが巧みな話術により判決が予想外になるんだから時代だなぁとも思います。それでもケンプトンは楽天的であり理想主義者だったからこそ、自分が良いと思うことは良い、悪いことは悪いと相手にちゃんと伝えることが出来たし、人を動かすことが出来たんですよね。パキスタン人の同僚が差別を受けてそれに対して上司にちゃんと抗議をしたシーンはとてもかっこよかったです。それでクビになってしまったけど…でも、そんな世の中が悪いんですよね。その世の中がおかしいと一石を投じたあの裁判は痛快でもありました。実際に家族でいたらすんごい嫌だけど(笑)
にしてもそんな頑固おやじに対してジャッキーは割と擁護しているからなんでだろうなぁと思っていたのだけど、娘の死のことで罪の意識に苛まれていることを知っていたり、そしてやっぱり父親の言葉に同意する部分があるからなのだろうなと思ったりしました。最後の最後、本当に良かったね。恋人は4年も待っていてくれていたんだね。幸せになってね。…ってお孫さんはこの方の息子なのだろうか。
面白かったです!