想い人のフオンと別れ、今日も腐れ縁の友人・小吹蘭都の家で暮らす売れない画家・濱松蒼。ある日彼の元に、後輩の澤本から「絵を教えてほしい」との電話が入る。当座の生活費を得るため承諾した蒼だったが、澤本の父親からも、蒼がかつて描いた女優の肖像画を探してほしいと多額の報酬を提示される。一方、蘭都は蒼の絵を追う組織の影に気づき、事件は二人の想像をはるかに超える事態に――。『探偵は絵にならない』続篇

蒼が昔描いた女優石溝光代の絵を探せとの依頼を受け、報酬のために動き出したはずが思わぬ諸々に巻き込まれていきます。蘭都は関係が無かったなずなのにいつの間にか巻き込まれ、蘭都の父親まで関わっていく事になる。
日常の話なのに幻想的な非日常の世界にも見えて不思議な感じ。森さんの文体がとても好きです。
蘭都のアロマセラピーのお客様、少女軟禁事件、絵を探す蒼を追うヤクザたち、澤本の父親の依頼、全てが一つに繋がっていくのが面白かったです。最後は何とかうまくまとまったと思ったらまさかの悲劇。これは事件とは直接関係はなかったけど、ちょっと切なかったです。
こちらはシリーズ化するのでしょうか。これからも楽しみです。

<早川書房 2021.5>2023.4.26読了