アメリカの大学院で書籍修繕の魅力に目覚めた女性は、ソウルに帰って書籍修繕店を開いた。お客さんはごく普通の人たち。職人として数多くの依頼に向き合ってきた思いを綴ったノンフィクション。
壊れかけた本をそこに込められた思い出をそのままに修繕する「書籍修繕」。らくがきでいっぱいの絵本、何度もめくってバラバラになった辞書、祖母が何十年もつけてきた日記帳。今までもこれからも、大切にされてきた本が蘇る。
書籍修繕で生計が成り立つんですね…というのが最初の感想でした^^;
著者さんが今まで修繕してきた作品の数々がカラー写真で載っていますが見事ですね。絶望的な荒れ具合の本もたくさんある中、長い時間をかけて修繕していく。ただ、綺麗にするのではなく、依頼人の想いに沿った修繕をするというのも凄いです。
「修繕」と「復元」とは違うという言葉が印象的で。「復元」は完全に同じものを指すけど「修繕」は、原本とは一部変わることもあるが、その分開かれた可能性を自由に活かすことのできる技術なんですよね。無限の可能性を秘めている大変な仕事です。
この本を読んでいたら、本に限らずモノを大切に使おう、丁寧に扱おうと感じました。
自分の仕事に誇りを持って邁進する著者さんの姿が素晴らしかったです。私もそうありたい。