男手一つで育ててくれた父が死んで、鎌倉のカフェを引き継いだ香良。ある日離婚した親友が押しかけてきて、いつの間にかシェアハウスをはじめることに! 次々やって来る入居者たちは、みんなちょっとワケあり。慣れない他人との共同生活に、イラっとしたり文句を言ったりもするけれど……。家族だから言えない、家族だから甘えられない。そんなひとりぼっちになった住人たちが見つけた新しい形のきずなに、あたたかい気持ちになる1冊。

読んでいる間もコーヒーのいい香りが漂ってくるような作品でした。カレーもどれも美味しそう。
一人でひっそりカフェを営みながら暮らしていた香良。突然離婚した親友三樹子がやってきてシェアハウスにしようと言い出す。押し負けてシェアハウスをすることに決めたとたんに入居希望の人がやってくる。50代の里子、30代のあゆみ、70代の千恵子と年齢はバラバラ。多少ぶつかり合いながらも楽しそうに暮らしているこのシェアハウスで私も暮らしたいなーと思いながら読んでいました。
誰もがちょっと訳ありで、でも他人だからこそ話せることもあるし、慰めあうこともできる。でもベタベタしているわけでもなくてちょうどいい距離感が素敵だなと思いました。
そして出てくる料理が本当に美味しそう。日々の暮らしを丁寧に生きたいと思いました。
香良が小さい頃からずっと気になっていた母のこともちゃんと最後に理解出来て良かったです。
余談ですが、最近鎌倉へ行き、鏑木清方美術館に行ったのでその場所がお話の中に出てきてとても嬉しかったです。その場所を思い浮かべながら読みました。

<幻冬舎 2022.12>2023.3.16読了