「与謝蕪村全集はありますか」「ワニの捕まえ方を書いた本はありますか」「昭和が終わったらどうしたらいいでしょう」……
レファレンスカウンターには、毎日いろんな人がやってくる。
昭和最晩年、レファレンス現場の「ジグザグ」な実態を描いた名著、『ある図書館相談係の日記』を大幅に増補復刊。
当時レファレンスは、貸し出しの付属サービスだと思われていた。そうではなく、レファレンスは、 サービスを通して社会全体の情報資源を有効に活用するためのもの。もっと言えば、ひとびとの生活や仕事、地域社会をよりよいものにしていくと同時に、「知る権利」をはじめとする憲法的な価値を実現するサービスだという、今のぼくの考え方に近い考えを、当時持ちはじめていた。これは今の社会の中で非常に重要な考え方だと思う。(解説対談より)

レファレンス日記が30年以上前のものだったのでおや?と思ったのですが、1994年に発刊されたものの改訂版だったんですね。当時はパソコンが導入されたばかりのようで、レファレンスは目録を見て調べるみたいな感じだったのかな。
日記が昭和天皇の容態が思わしくない時期のものもあり、レファレンスで昭和天皇に何かあったら私はどうすればいいのかという内容の電話が来たというものがあって驚きました。そういう時代だったんですね…。そしてこのころ同じ理由で大正の終わりころの新聞の縮刷版が所蔵されているかどうか確認の電話が多かったというのも興味深かったです。
電話を置いたらまたすぐに電話がかかってくるというのは大変ですね。私は電話が苦手なので怖い…^^;それでもレファレンスの内容や司書としてどう動くべきかということは基本的には変わらないと思うので勉強になりました。
大串先生と国立国会図書館職員の小林氏との対談もとても興味深かったです。

<皓星社 2019.11>2023.1.26読了