「なぜ、私の配下になった?」 生まれながらに山内を守ることを宿命づけられた皇子。葛藤と成長、彼らのその先には−。奈月彦の兄・長束と、長束の近衛・路近の物語。
衝撃的だった前作「追憶の烏」から山内は一体どうなってしまうのかと気になっていました。読むのが怖かったですが…今回はスピンオフのような感じでしょうか…前作から少しだけ進んだような感じでしたね。でもきっとここで登場した人たちがキーマンになっていくような気もします。
今回は大体が路近と翠の話だったので驚きました。翠寛…雪哉と争った…?覚えておらぬ…。そして清賢が素晴らしい人でしたね…仙人のよう。こちらのシリーズはサブキャラという人はいないんですよね…。一人一人の物語を丁寧に描いている気がします。翠寛の境遇が可哀想すぎて読んでいて辛かったです。それでもしがみついてもがいて闘って生き延びていく姿は素晴らしかった。軽い言葉になってしまうけどかっこよかったです。そして路近…あれ、こんなサイコパスな人でしたっけ…。路近がサイコパスなのは認めるけど多分家族みんなトチ狂ってると思うな…←
今回も大体辛かったですけど^^;長束の教育は可愛らしかったですね(笑)なんだあれは。完全にはじめてのおつかいじゃないか(笑)拍子抜けしちゃいましたよ。
でもその後に唐突にやってくる悲劇。そうだ…奈月彦は妹によって殺められたんだった…ということは長束にとっても妹なわけで…辛いな…
そしてわずか8歳ですべてを背負おうとした少女紫苑の宮。紫苑の宮は唯一の光。みんなが命を懸けてこの光を守ろうと決意したことが伝わってきて涙が出そうでした。
物語の最後は6年後。これから山内はどうなっていくのか、怖いけどしっかりと見届けようと思います。
…それにしても。「烏に単は似合わない」の装丁が綺麗だなぁと思って読み始めてから物語と世界がこんなに壮大になるとは思いもしていなかったな…
<文藝春秋 2022.10>2023.1.5読了
長束の「育て直し」が「はじめてのおつかい」・・・!
それだ!まさにそれ(笑)。
あそこのシーンは、微笑ましくて、にやけちゃいましたねぇ。
この物語を読んで、阿部さんの中にある〈八咫烏世界〉の壮大さ、登場人物たちそれぞれの生き様が、確かに伝わってきて、本当にこの世界の先を知りたい、彼らが少しでも救われる未来が来てほしいと、願ってしまいました。
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