人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
以前「グレーテルのかまど」で「ライオンのおやつのミルクレープ」が取り上げられていて、原作がとても気になっていました。ようやく読めました。
雫がこのホスピスで過ごした時間は約1ヶ月。でもその間雫はとても幸せそうでした。
病と闘って抗って頑張って、そして闘うことを止めてたどり着いた終の棲家。
マドンナがとても素敵な方です。自分が考えていることをちゃんと理解して包み込んでくれているよう。
雫がちゃんと家族に会えてよかった。お父さんと妹に逢えてよかったです。
そして、雫がいなくなった後の物語もとても好き。お父さんも早苗さんも雫を大事に大事に想っていることが分かって切なくなりました。梢もいい子でした。2人の子供なんだから、そうですよね。そして雫の妹なのだから。
タヒチ君もまっすぐで素敵な人でした。雫が病気じゃなかったら…とも思うけど、病気にならなかったら逢えなかった人。だから、逢えてよかったのだと私は思いたいです。
人生の最後に食べたいおやつ…私だったら何だろう。
おばあちゃんが作ってくれたおはぎかおやきかな。
<ポプラ社 2019.10>2022.12.27読了