かんむり (幻冬舎単行本)
彩瀬まる
幻冬舎
2022-09-14


虎治と光は元同級生で、夫婦となり子供を持ち家族になった。時にはぶつかりながらも同じ方向を見て進んでいると思っていたが…。試行錯誤しながら日々を紡いでいく、ある夫婦の物語。

中学生の時に出会い、別れ、再び出会って付き合って結婚して。
そんな光と虎治の人生が流れていく物語です。
若い時の2人は思ったことをちゃんと言い合っていい夫婦関係を築いているような気がしたんですけど、30代後半からはだんだん齟齬というか、価値観の違いが出てくるようになりましたよね。
2人とは同世代だと思うんですけど(コロナ禍の時の2人の年齢的に)虎治の昭和みたいな考え方を持ってる同世代なんている!?って、ちょっと引きましたけど、でも、私たちの学生の時は昔ほどではないけど理不尽な厳しさはあったような気がするなー。
だからと言って、強くなるための厳しさに耐えることと、理不尽ないじめに耐えることははき違えちゃいけないと思います。私は男じゃないから分からないけど、スポーツが出来ないと学業にも就活にも響くんですか?へーそれは知らなかったなー←
新が父親を嫌う気持ちも分かる。でも、離れなかった光の気持ちも分かる。夫婦だろうと家族だろうと一人一人想いは違うわけで。難しいですね。
でも、新が言った「日本が貧乏になったのはお父さんとお母さんの世代のせいでしょ」って言葉はなんだかすごくショックだったなー…。20年後30年後に、こんなことを言われる未来が来るのかもしれないと思ったらちょっと凹む…
最後の光は明るくて好きでした。女性との出会いも必然だったのかな。

<幻冬舎 2022.9>2022.11.14読了