山の名士が遺した二通の遺言状。一通目の遺言に従って、一族の面々は瀬戸内の孤島・斜島に集められた。行方を晦ましていた怪しげな親族までも別荘『御影荘』に招かれて奇妙な空気に包まれるなか、もう一通の遺言状は読みあげられた。その翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から隔絶される事態に。相続人探しの依頼を受けていた私立探偵・小早川隆生と遺言執行人の代理を務める弁護士・矢野沙耶香、ふたりは次から次へ奇怪な事件に巻き込まれていく。鬼面の怪人物の跳梁、消える人影、そして一族が秘密にしていた二十三年前の悲劇――続発する怪事の果て、探偵たちの眼前に驚愕の真相が現出する! 本屋大賞作家が満を持して放つ、謎解きの興趣を隅々まで凝らした長編ミステリ。
東川さん作家生活20周年記念作品だそうです。
いやー確かに壮大!タイトルの通り大きな仕掛けが待ち受けていました。
東川さんの作品はちょっとすっとぼけた探偵と助手の掛け合いが面白いんですよね^m^今回は探偵と弁護士。新しい!そしてその探偵の父親は刑事で母親は探偵!凄い!サラブレッド!(?)
今回の事件も23年前の事件もスケールが大きかったですけど、途中の容疑者たちの言動からとある人物の正体が読めてしまって、こんなに鈍い私が分かってしまってこの後大丈夫?大丈夫???と思いましたけど←トリック等自体は関係なかったし周りの人たちのことは気づかなかったので最後まで楽しんで読めました。
でも、途中気づいたその人に対しては、ただただ可哀想だなぁ…という感想。巻き込まれて人生を背負い込まされて可哀想だなぁと思ってしまったのだけど。でも前向きな終わり方で良かったです。こんな友情良いな。素敵。
<東京創元社 2022.9>2022.11.8読了
そこで「館島」を思い出したのですが、冒頭で描かれる、かつて起こった十文字邸の事件はその話ですよね。
岡山の瀬戸内の島という共通点はありますが、特に話の繋がりなどはありません。
表紙に描かれている斜島と思われる絵は、とても別荘が建てられる様な島では無いのが気掛かりです。
孤島に建てられた曰くありげな別荘、地の名士の遺産の相続、台風による警察の不介入、そこで起こった奇怪な事件。
クローズドサークルにおける殺人事件ですね。
相続人の一人が殺害され、それは複数の犯人によるリンチの様な遺体です。
弁護士の沙耶香の視点で描かれますが、東川篤哉さんらしいユーモラスな描写が目立ちますね。
タイトルからも判る通り、仕掛けに溢れた島というか、建物。
この「御影荘」の見取り図は示されていますが、中庭に何も記されていないのはどうなんでしょうか。
結末はかなり無理がある様な気がしました。
また、23年前に起こった事件の動機が、良く判らないのもどうかと思いましたね。