絶対王政時代の17世紀ヨーロッパ。オランダは王を戴かず、経済の力で大国になった。海洋貿易、軍事、科学技術で世界を牽引し、文化・芸術も大きく花開いた。
「他国では王侯貴族や教会の占有物だった絵画が、フェルメールの生きた十七世紀オランダでは庶民の家の壁にもふつうに飾られていました。
フランス印象派より二世紀も先に、庶民のための芸術が生まれていたのです」(あとがきより)
フェルメール、ハイデンの風景画からは市民の楽しげな暮らしが見て取れる。
レンブラント、ハルスの集団肖像画は自警団の誇りと豊かさを、ロイスダールの風車画はオランダ人の開拓魂を、バクハイゼンの帆船画は東インド会社の隆盛と経済繁栄を伝える。ヤン・ブリューゲル二世はチューリップ・バブルに熱狂した意外な一面を描き、ステーンが描く陽気な家族からは、人々の愉快な歌声まで聞こえる。
フェルメールが生きたのは、こんなにも熱気あふれる“奇跡の時代”だった。
人々は何に熱狂し、何と闘い、どれほど心豊かに生きたか――15のテーマで立体的に浮かび上がる。

オランダ出身の画家というと、私はフェルメールとレンブラントしかわからなかったのですが^^;オランダにはたくさんの画家を輩出している国なんですね。
こちらの作品を読んでいるとたくさんのオランダの画家の作品を観ることが出来ます。オランダの街並みを時の流れとともに感じられるような気がします。歴史や風土や国民性なども勉強になりました。オランダでは割り勘が基本なんですね^m^大事。
この作品の中に、私も今年実際に見たフェルメールの『窓辺で手紙を読む女』の修復前と修復後の作品も出てきました。実際に見たのは修復後が初めてだったのですが、前のも見て見たかったなーなんて贅沢なことも考えたりしました^^;
あとがきを読んでいたら『クリムトと黄昏のハプスブルク』を準備中だそうです。楽しみ。

<文藝春秋 2022.5>2022.10.25読了