行き場をなくした女たちが集う浅草の置屋「燕屋」の前に、一人の赤ん坊が捨てられていた。かつて自らの子を亡くした遊女の千代は、周囲の反対を押し切って育てることを決める。お雪と名付けられた少女は、燕屋の人々に囲まれながら、明治から大正へ、浅草の賑わいとともに成長する。楽しみは芝居小屋に通うこと。歌って、踊って、浅草オペラの真似をして、毎日はあんなに賑やかで幸せだったのに。あの男がすっかり台無しにした──。
劇団ひとりさんの小説は全部読んでます。「陰日向に咲く」も「青天の霹靂」も大好き。
今回の作品も芸人である劇団ひとりさんだからこそ書くことのできる小説だと思いました。
登場する女性たちは本当にみんな不器用で。でも、一生懸命に生きていた。
千代も、そして鈴江も生き方が不器用。でもだからこそ、魅力的な女性たちでした。そんな女性たちに育てられたお雪はまっすぐで良い子ででもやっぱりちょっと不器用な可愛い女の子でした。
ささやかな幸せを感じながらみんな幸せに生きていたのに…本当に…悔しい。
あの男もそうだけど、この小説の時代は大正ですもんね…そうですよね。
大変な時代だけどそれでも前を向いて生きている姿に元気をもらえた気がします。
劇団さん、この作品も映像化されると良いですね。妄想でキャスティングもされているそうですがそちらも気になります^^
<幻冬舎 2022.8>2022.9.16読了