舞台俳優・演出家として成功し、充実した毎日を送っていた家福悠介。しかし、脚本家として彼を支えていた妻の音が、今夜話したいことがある、と言った矢先に急死。悠介は心に大きな喪失感を抱えたまま、孤独な日々を送るはめに。2年後、彼は広島で開催される国際演劇祭でチェーホフの名作舞台劇「ワーニャ伯父さん」の演出を手掛けることになり、寡黙な専属ドライバーのみさきと行動をともにするうち、心境に次第に変化が生じる。
今日、WOWOWで初放送されたものをリアルタイムで見ました。
大まかなあらすじしか知らずに見たのですが、素晴らしかったです。世界観に引き込まれました。
この作品、3時間もあったんですね…時間が経つのを忘れるほどでした。
村上春樹作品がもとになっているからか、言葉一つ一つが重厚で1度聞いて頭の中で咀嚼して考えていくことが必要のような…薄っぺらい言葉が無かったな…と思いました。悠介と音の会話も、悠介とみさきの会話も、ワーニャ伯父さんに関わる役者も演出家もみんな、使う言葉が綺麗で会話をずっと聞いていたいと思いました。
悠介とみさきの心の距離が縮まっていって、自分たちの身の上話を少しずつし始めた時、唐突に悠介が「じゃあ君は今23歳か」と言ったシーンがあって。性別や年齢をあまり気にしなそうな人なのにどうして年齢をいきなり言ったんだろう…と思ったんですけど、それにもちゃんと伏線が張られていたんだな…と思って驚きました。きっと悠介の中ではみさきの年齢を知った瞬間に距離が縮まったんだろうな…とか、想像しちゃいますよね。
高槻君も色々葛藤があったんでしょうね…。嫌な予感はしていたんですけど…。全てを実行した後だったから、車の中であんな深い話が出来たのでしょうか。皮肉と言えば皮肉ですけど。
2人が北海道へ向かったとき「そういえば北海道でロケ地になったって言ってたところがあったな…」と思い出しました。それまですっかり忘れていました^^;雪景色はまあまあ綺麗だったけど、場所はよくわからないし観光地というには結構難しい場所のような…という気がしなくもなかったですが^^;それでも、2人の分岐点というか、自分が殺してしまったと悔いている相手と対峙するには必要なシーンだったのかなと思います。2人が亡くなった人に対しての想いを泣きながらぶつけ合った良いシーンでした。
「ワーニャ伯父さん」私は原作は未読で内容も知らないのですが、手話の語りのシーンは見ていて涙がこぼれました。登場人物がどうして生きているのが辛くて苦しいのかわからないけど、でも台詞が自分と重なるような気もしていて。たくさんの言葉で演じているのも良かったです。
エンドロール直前の映像がものすごく想像をかき立てられますよね。韓国?でも車は悠介の車?犬?みたいな(笑)見る人によっていろんな想像をしてエンドロールは余韻に浸るんだろうなと思いました。
私、村上春樹さんの作品は高校生の時に「海辺のカフカ」を読んで意味が分からなくてそれから遠ざけてしまっていたんですけど^^;年を重ねた今だったらまだ理解が出来るような気がします。村上作品を読んでみたくなりました。「ワーニャ伯父さん」も、いつか読んでみたい。
世界で絶賛された意味をようやく理解することが出来ました。見ることが出来て良かったです。