目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
川内 有緒
集英社インターナショナル
2021-09-03


見えない人と見るからこそ、見えてくる!
全盲の白鳥建二さんとアート作品を鑑賞することにより、浮かびあがってくる社会や人間の真実、アートの力――。
「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」
という友人マイティの一言で、「全盲の美術鑑賞者」とアートを巡るというユニークな旅が始まった。
白鳥さんや友人たちと絵画や仏像、現代美術を前に会話をしていると、新しい世界の扉がどんどん開き、それまで見えていなかったことが見えてきた。
視覚や記憶の不思議、アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒にいること。
そこに白鳥さんの人生、美術鑑賞をする理由などが織り込まれ、壮大で温かい人間の物語が紡がれていく。
見えない人と一緒にアートを見る旅は、私たちをどこに連れていってくれるのか。
軽やかで明るい筆致の文章で、美術館めぐりの追体験を楽しみながら、社会を考え、人間を考え、自分自身を見つめ直すことができる、まったく新しいノンフィクション!
開高健ノンフィクション賞受賞後第一作!

図書館雑誌の中にある図書館員のおすすめ本でこちらの本が紹介されていました。
読んでいる時も面白かったけど、読み終えた後も考えさせられる、余韻の残る作品でした。
白鳥さんと一緒にアートを見にいく際は、今自分が見ている作品がどういうものなのか白鳥さんに説明をするのですが、もしも自分がその立場になったら、自分が今見ている作品をちゃんと伝えることが出来るのだろうかと考えてしまいました。私は美術館へ行くのが好きなのですが、ちゃんと作品を観ているのだろうか…ということも考えてしまいます。実際覚えているかと聞かれればほとんど覚えていないと思うし…。その作品を観て、注釈を見たり音声ガイドを聞いたりしているけど、理解出来ていて、頭に入っているのかな?とか、考えてしまいました。
全盲の方がどうやって美術館賞をされるのだろう?と気になって読み始めたんですけどその考えを持っていること自体がダメなのかなとか、自分が今まで考えていたことが固定概念の塊だったんだなとかとにかく色々考えてしまいました。
これから美術館に行くときは一つの画を見て頭の中で解説とかしたら面白そうだし覚えられそうです。

<集英社インターナショナル  2021.9>2022.7.6読了