「現金が足りないんです」。銀行の支店で起こった現金紛失事件。捜索の結果、当日の日付の入った札束の帯封が女子行員のショルダーバッグの中から発見され、疑いがかかる。女子行員は盗ったことを否定し、ミスを隠したい銀行は支店長らが金を出し合って補填をすることに。そのうち、別の男性行員が失踪――。
東京第一銀行長原支店――中小企業や町工場がひしめき合う場所に立地し、それらの顧客を主な取引先とする銀行を舞台に、�爐燭燭�上げ�瓩慮悗蝓�格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績……事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤を描く。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。
イノッチが主役でドラマ化されるということで原作を読みました。
実は池井戸作品は初読みです。
連作短編のような感じでしたね。それが最後に繋がる…みたいな。
この世界の銀行と今の日本の銀行は同じものなのでしょうか…。今はそうではなかったとしても、昔はこういう世界が当たり前だったのでしょうか…。
全体のお話としては続きが気になって一気読みでした。
でも、ほとんどの登場人物たちの仕事に対する考え方は正直気持ちが悪くて引きました。周りを蹴落としてまで自分は上にいくと意気込む人種を私は理解が出来ません。
新卒で入った会社でパワハラにあって体調を崩して辞めた身としては読んでいて結構辛かったです。イノッチが演じる役はそういう感じではなくて人望がある人でしたけど、最後の最後に裏切られたような…そうではないような…後味も悪かったですね。
ドラマを見るために予備知識として読みましたけど、このまんまの世界だったら私はドラマは見れないかもしれません…
っていうかイノッチの役を主役にするの、結構難しいのでは…どうするんだろう。そこは気になります。
＜文藝春秋 ２００６．１、２００８．１１＞２０２２．６．５読了
