泣ける日本史
真山知幸
文響社
2021-11-11


戦争、身分差、島流し、人質、側室、首さらし…
現代では考えられないような、理不尽だらけの時代――
絶望的な状況なのに、なぜあの偉人たちは、こんなにも強く生きることができたのか?
●死が目前に迫っているのに、「自分には一片の後ろ暗さもない」と言い切った吉田松陰
●誰よりも父に貢献したのに、ヒーローの座を奪われ、父の手で犯罪者にされた護良親王
●裏切られてもなお、困っている人を見て見ぬふりできず立ち上がった大塩平八郎
●武士のプライドよりも、仲間の命を優先して出頭した近藤勇
●親同士の争いで引き裂かれながらも、生涯初恋の相手を思い続けた松姫
●ここで死んでどうする――腹心の友との別れを乗り越え、生き抜いた渋沢栄一
「いつも自分ばかりが、損な役回り…」「努力してもどうせ、誰も見てくれていない…」
人生の不合理を感じている人こそきっと励まされる、どうしようもない理不尽にもがき続けた、19人の生き様。
涙しながらも、後悔しない生き方をしたいと思わせてくれる、共感の偉人伝!

学校で習う日本史のアナザーストーリーのような感じでしょうか…。
学校で習って知っている人もいれば初めて知る人もいました。
ここに登場する人たちに比べたら、自分が思い悩んでいることなんてなんてちっぽけなことなんだろう…と思うくらいスケールが大きすぎますよね^^;
でも、皆さんちゃんと自分の意志を持ってそれを貫いて生きてきたんだな…と読んでいて思うことが多かったです。
特に印象的だったのは相楽総三かなー。この方のお名前は「るろうに剣心」を見ていれば誰もが知る人物なんですよねー。だから名前は小さい頃から知っていましたし、非業の死を遂げたことも知っていました。大人になってから文献を読むようになって、良いように利用されて裏切られたのだと知ると読んでいるこちら側も悔しくなるくらい、辛いという言葉では片づけられないくらいの最期だったのだろうなと思います。
この方に限らず、著作に登場する人はそういう方ばかりでした。成功者がいる一方、犠牲になったり、非業の死を遂げた人もいるわけで、その歴史を繰り返して今、私たちが生まれて生きているのだと思うと、なんだか不思議な感じがします。
こういう方々がいたからこそ今があるのだと思います。もっとこういう作品を読んでいきたいです。

<文響社 2021.11>2022.4.1読了