言葉は新しい未来へつながるー。直木賞作家・森絵都が〈言葉〉をテーマに綴った8つの物語。光村図書小学校教科書「国語6」掲載の「帰り道」も収録。作家生活30周年を迎えるにあたり、9人の人気イラストレーターとの豪華コラボレーションが実現!
「帰り道」…しらこ/絵
思っていることをうまく言葉にできない律は、「どっちが好き」という話題であいまいな返事をして、周也から「どっちも好きってのは、どっちも好きじゃないのと、いっしょじゃないの」と言われてしまう。落ちこむ律だったが、帰り道に周也が声をかけてきて……。
「あの子がにがて」…赤/絵
同じクラスの真紀ちゃんが苦手な水穂。話しかけてもつんとした声で返事をしてきたり、男子の前では態度が違いすぎたり。塾仲間のミーヤンに真紀ちゃんとのことを相談してみると、思いがけない言葉を教えてくれて……。
「富田さんへのメール」…長田結花/絵
自分のミスで負けてしまったソフトバレー大会のあと、キャプテンの富田さんが耳元でささやいた言葉にしばられ続けている美里。モヤモヤを晴らすため、富田さんへ気持ちを伝えようと決心する。
「羽」…早川世詩男/絵
こどものころ、ぼくの言葉には羽が生えていて、ぼくが口を開くとそれは大空へかけのぼっていった。なくしたことすらも忘れていたそれがよみがえったのは……。
「こりす物語」…100%ORANGE/絵
自分の見たものを言葉にするのが苦手なこりすは、森にある素敵なものを絵にすることを思いつく。冬眠の準備もせず夢中になって絵をかくうちに、冬がやってきて……。
「遠いまたたき」…植田たてり/絵
大好きなおばあちゃんに言えなかった言葉たちは、どこへ行けばいいんだろう? 後悔の日々を過ごす「わたし」がたどり着いたのは……。
「風と雨」…酒井以/絵
グループの分裂によってひとりになった風香は、無口な瑠雨ちゃんといっしょにいることが多くなる。国語の言葉集めの時間、自分が思いもしない言葉を書いた瑠雨ちゃんの紙を見て、瑠雨ちゃんのことをもっと知りたくなり……。
「あしたのことば」…中垣ゆたか/絵
両親の離婚で父親と福岡県へ引っこした裕は、何事にもやる気を感じられずにいた。そんなある日、クラスメイトから聞きなじみのない遊びに誘われて……。
小学校の教科書に載っている作品もあるんですね。それぞれ読み終えた後に考えさせられるような内容だった気がします。
「富田さんへのメール」を読んで、私も弟に「死ね」って言われたときのことを思い出しました。多分生まれて初めて言われたときで、涙が止まらなくなって家族に当たり散らした記憶があります^^;言葉は心に残りますよね。いまだにその時のことを思い出せますし、思い出したら哀しくなります。自分が放つ言葉も意識して気を付けていかないとなと思います。
「風と雨」が好きでした。2人がお互いに気にかけているのが第三者から見て可愛かったです。きっとこれからはもっと仲良くなれますね。きっとおじいちゃんとも仲良くなれるかな^^
素敵なお話ばかりでした。森さんの児童文学を久しぶりに読めて嬉しかったです。
<小峰書店 2020.11>2022.2.28読了