蓮見貴斗と尚斗は一卵性双生児。
弟の尚斗は人気俳優だったが、遺書も残さずに自殺した。
葬儀を終えて数日後に尚斗のスマホが見つかり、貴斗が電源を入れると顔認証を突破できてしまう。
未読メールには礼文島行きの航空券が届いていた。
自殺したのに、どうして旅行に行こうとしたのか。
その答えを知るために貴斗は旅立つ。
人気絶頂で自殺した愛する弟は何に悩んでいたのか。
止められなかった自らの後悔を胸に世界を旅する貴斗。
「生きること」と「死を受けとめること」の意味を問う、感動のロードノベル。
家族の中に芸能人がいるってどんな気持ちなのだろうと読んでいて思いました。ましてや一卵性双生児で同じ顔だとしたら。世間は一般人の兄弟は妬み嫉みを持っているんじゃないかって思ってしまうこともあるかも知れないですよね。
私は自死で家族を突然失った経験がないので、主人公の気持ちは分からないけど、同じ顔を持った片割れがいなくなったことを理解するために、弟が旅した場所を巡ることは必要なことだったのかなと思います。黒髪に眼鏡だったのに、弟そっくりに髪を染めてコンタクトにして。贖罪だったのでしょうか。自殺する弟に気づけなかったという罪。
最終的に貴斗が前を向いて生きようと思ったのなら良かったです。
最後のエンドロールが斬新でした。
そして最後は衝撃でしたね…。奥さんの名前が出てきて、あれ?あの子は下の名前出てきたっけ?と思って読み返したらしっかり最初に書いてありました^^;
面白かったです。そして私も旅に出たくなりました。海外は怖いから、国内だけど。
<双葉社 2021.12>2022.2.21読了