赤と青とエスキース
青山 美智子
PHP研究所
2021-11-16


メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」。
日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。
二度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。
●プロローグ
●一章 金魚とカワセミ
メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。しかしレイは、留学期間が過ぎれば帰国しなければならない。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……。
●二章 東京タワーとアーツ・センター
日本の額縁工房に努める30歳の額職人・空知は、既製品の制作を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。そんなとき、十数年前にメルボルンで出会った画家、ジャック・ジャクソンが描いた「エスキース」というタイトルの絵画に出会い……。
●三章 トマトジュースとバタフライピー
中年の漫画家タカシマの、かつてのアシスタント・砂川が、「ウルトラ・マンガ大賞」を受賞した。雑誌の対談企画の相手として、砂川がタカシマを指名したことにより、二人は久しぶりに顔を合わせるが……。
●四章 赤鬼と青鬼
パニック障害が発症し休暇をとることになった51歳の茜。そんなとき、元恋人の蒼から連絡がくる。茜は昔蒼と同棲していたアパートを訪れることになり……。
●エピローグ
水彩画の大家となったジャック・ジャクソンの元に、20代の頃に描き、手放したある絵画が戻ってきて……。

青山さんの作品は1度最初から最後まで読むだけじゃ終わらないんですよね…。途中で「えぇ!?」と驚き最初から読み返すというのが定番なのですが(笑)今回もそうでした。いやー気づかなかったー!!!いや、額職人のときの2人は気になっていたんですよ。でもちらっと気になった程度でスルーしてました。いやーそうですかそうですか。
最初に登場するブーとレイの関係も気になりますが、2章以降に登場する人たちも個性あふれる魅力的な人たちでした。タカシマさんは調子のいい偉そうな人なのかなと最初に思っちゃってごめんなさい^^;砂川さんとの関係がとても素敵でした。
こうして人と人は繋がっていくんだな…とあたたかい気持ちになりました。
青山さんの作品はいつも読んでいて心が癒されて満たされます。私の心の処方箋です。

<PHP研究所 2021.11>2022.1.5読了