新しい星 (文春e-book)
彩瀬 まる
文藝春秋
2021-11-24


幸せな恋愛、結婚だった。これからも幸せな出産、子育てが続く……はずだった。順風満帆に「普通」の幸福を謳歌していた森崎青子に訪れた思いがけない転機――娘の死から、彼女の人生は暗転した。離婚、職場での理不尽、「普通」からはみ出した者への周囲の無理解。「再生」を期し、もがけばもがくほど、亡くした者への愛は溢れ、「普通」は遠ざかり……。(表題作「新しい星」)

直木賞候補作ですね。
大学時代に合気道をしていた4人の物語。連作短編集で少しずつ時が流れていきます。
生後2か月で娘を亡くした青子、30代で乳がんと診断された茅乃、仕事で上司と折り合いが悪く引きこもりになってしまった玄也、コロナ禍となり家族と離れ離れで暮らす卓馬。
茅乃の病をきっかけに再び合気道をはじめ、交流を持つようになった4人。大人になったからこそ抱えるようになった悩みのあれこれをこうして話せる相手がいるというのは幸せなことだなと思いました。特に青子と茅乃の関係が羨ましかったです。ベタベタしているわけではないけど、お互いに信頼している感じが。あと玄也と新しくできたお友達の関係も可愛い。こっちは可愛いが似合う。
こうして少しでも生きやすくなる存在が、私も傍にいたらいいのにな…と思いました。

<文藝春秋 2021.11>2021.12.27読了