おはようおかえり
近藤 史恵
PHP研究所
2021-11-10


真面目な姉と自由奔放な妹。二人の姉妹に訪れる思いがけない出来事とは――
北大阪で70年続く和菓子屋「凍滝」の二人姉妹、小梅とつぐみ。姉の小梅は家業を継ぐため進学せず、毎日店に出て和菓子作りに励む働き者。 妹のつぐみは自由奔放。和菓子屋を「古臭い」と嫌い、大学で演劇にのめり込みながら、中東の国に留学したいと言って母とよく喧嘩をしている。
そんなある日、43年前に亡くなった曾祖母の魂が、何故かつぐみの身体に乗り移ってしまう。凍滝の創業者だった曾祖母は、戸惑う小梅に 「ある手紙をお父ちゃん(曾祖父)の浮気相手から取り戻してほしい」と頼んできた。
手紙の行方を辿る中で、少しずつ明らかになる曾祖母の謎や、「凍滝」創業時の想い。姉妹は出会った人々に影響されながら、自分の将来や、家族と向き合っていく。

タイトルを最初に見たときはそこまで深く考えていなかったのですが、読み始めて「おはようおかえり」は「お早いお帰りを」という意味だったのだと知りました。曾祖母が使っていた言葉。当時は遅く帰ってくるなんて不吉なことでしかなくて、だから早く無事に帰ってきてねという意味なのだと分かるとなんだかじんわりしました。
割と冒頭に意味が分かるのですがそんなじんわりとは裏腹に、曾祖母の榊さんはなかなか大変な人生を歩まれていたんですね。しっかりとされていて周りのこともちゃんと考える厳しいけど素晴らしい人だと思いました。それでも、心残りがあったんですね…。
小梅と榊のコンビは割と良かったですね。つぐみのように奔放でもないし家業が嫌なわけでもない。何かしたいことがあるわけでもない。それでも…と悶々としている小梅にはいい刺激になったんじゃないかな。ジュンさんとの出会いも好きでした。

<PHP研究所 2021.11>2021.12.20読了