月と日の后
冲方 丁
PHP研究所
2021-09-17


一族の闇、怨念、陰謀が渦巻く宮廷――
藤原道長の娘にして、一条天皇の后・彰子。 父に利用されるだけだった内気な少女は、いかにして怨霊が跋扈する朝廷に平穏をもたらす「国母」となったのか。
『天地明察』『光圀伝』の著者が、“平安のゴッドマザー"の感動の生涯を描く。
わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入り、一条天皇を迎える最初の夜、彼女は一条天皇の初めての男児誕生の報を聞く。男児を産んだのは、藤原定子。夫である一条天皇は、優しく彰子に接するが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。
「透明な存在になって消えてしまいたい」――父・道長によって華やかに整えられた宮中で心を閉ざし、孤独を深める彰子であったが、一人の幼子によって、彼女の世界は大きく変わった。
定子の崩御により遺された子、敦康。道長の思惑により、十四歳の彰子がその子の母親代わりとして定められたのだ。戸惑いながらも幼い敦康を腕に抱き、母になる決意を固めた彰子は、愛する者を守るため、自らの人生を取り戻すために戦い始める――。
平安王朝を新たな視点からドラマチックに描いた著者渾身の傑作長編。

冲方さんの作品を読むのは5年ぶりだったみたいです。そんなに経つんだ…。
冲方さんの書かれる歴史ものが好きです。今回も大河ドラマを見ているかのようでした。一人の一生を細部まで書かれるのが上手いなと思います。
以前清少納言が主人公の物語を書かれましたが、今回は一条天皇の后である彰子。正直「はなとゆめ」で彰子がどう書かれていたのか覚えていませんが^^;いやー…一気読みでした。
藤原道長の娘で一条天皇に入内したのは知っていますし、紫式部が仕えていたのも知っていましたが、こんな方だったのですね…
一条天皇と彰子が民のために尽くす方々だったのは何となく知っていましたが、ここまでだったとは…道長をはじめとする自分の名誉のことばかり考えている男たちがなんと浅ましく醜く見えた事か…。まさに「国母」という言葉がふさわしい方だったのですね…。
知ることが出来て良かったです。
面白かったですが終盤は歴史の箇条書きのような感じになってしまったのがちょっと残念かな。まあ出家されて自分で動くことが少なくなってきていただろうし仕方がないとは思いますが…。勉強になったから良いんですけどね←

<PHP研究所 2021.9>2021.11.18読了