もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい――(解説・俵万智)
宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林秀雄、ユングらの、死者や哀しみ、孤独について書かれた文章を読み解き、人間の絶望と癒しをそこに見出す26編。
「言葉にならないことで全身が満たされたとき人は、言葉との関係をもっとも深める」―-自らの深い悲しみの経験を得た著者が、その魂を賭けて言葉を味わい、深い癒しと示唆を与えてくれる。
日経新聞連載時から話題を呼び、静かなロングセラーとなった一冊。
文庫化に際して「死者の季節」「あとがき」を増補。
カバーと本文内を、世界的に人気の高いアーチスト・沖潤子の作品が優しく深く彩る。大切な人に贈りたい、特別な一冊。
読んでいて時々はっとして読み返して。いつもはそんな読み方はしないのに、読んで読み返してを繰り返して読了しました。
数々の詩人の方が残した美しい文章に若松さんが解説をされています。何もかも優しい。言葉が優しいです。
それは若松さんご自身がこの上なく大切な大切な人を亡くしているからこそ、このような優しい文章が生まれたのだと思うと、なおのこと切ないです。
以前100分de名著の指南役で著者さんを拝見し、その熱く語られる姿に見入られ、著作を読むようになりました。読んでから、奥様を早くに亡くされていることを知りました。だからこそ、人の痛みや苦しみに寄り添える文章を書くことが出来るのかな…なんておこがましいですが感じました。
冒頭にあった「かなし」は「愛し」とも書くという言葉がとても印象的です。
日本語の難しさと愛しさを感じました。
<文藝春秋 2019.12>2021.11.15読了