ほろよい読書 (双葉文庫)
柚木麻子
双葉社
2021-08-05


今日も一日よくがんばった自分に、ご褒美の一杯を。酒好きな伯母の秘密を探る姪っ子、将来に悩む日本酒蔵の跡取り娘、自宅での果実酒作りにはまるアラフォー女性……など、「お酒と女性」をテーマに今をときめく女性作家達が描いた、5つの短編小説集。

どの作品も面白かったです!
「お酒と女性」がテーマですがもちろん内容は全然違ってそれぞれ楽しめました。
「ショコラと秘密は彼女に香る」織守きょうや
私、この作品が1番好きでした。伯母のことを尊敬している姪が、伯母が大事にしている写真から相手のことが気になって本人に逢いに行ってしまうのとか大胆だなと思いましたけど、色々疑問に思っていたことが見事に氷解していきましたよね。伯母の秘密が分かった時、切なくなりました。相手の孫との関わりも良かったです。
「初恋ソーダ」坂井希久子
過去の男も、今少しだけ気になっている男も読んでいるだけでキモイと思いました←
自分の好きなことを自分だけに収めたほうがいい場合だってあるわけで。これからも果実酒をガンガン作っていただいて、その果実酒とともに素敵なマンションを購入することを願っていますよ私は。
「醸造学科の宇一くん」額賀澪
なんかロミオとジュリエットみたいでしたね。恋愛じゃないと思いますけど^^
家が自営業で自分が後継ぎって難しいですよね。それをどうとらえるかによって自分の人生にも大きな影響を与えていくわけですから。親が望むような進路を歩み始めたわけだけど、そこから自分がやりたいことだって見つかるかもしれないから頑張ってほしいな。
「定食屋「雑」」原田ひ香
最後まで主人公の女性のことは好きになれませんでしたねー。気持ちはわかりますけど。旦那さんのために美味しいご飯を用意して、せっかくだからそれだけを楽しんでほしい。その想いも間違いではないけど、旦那さんが思うお酒も一緒に楽しみたい。たまには身体に悪そうな美味しいものも食べたい。それが全否定されるのは辛いよね。しかも間違ってるみたいな言い方をされたら尚更。少しでも気持ちが変化して良かったです。
「barきりんぐみ」柚木麻子
オンライン飲み会がテーマなのが今時っぽくて入り込みやすかったです。この物語の日本の状況も通ずるものがあって、だからこそ働く親の大変さがリアルに伝わってきた気がします。
私はお酒は飲まないのですがマスターが作るカクテルは意外なのもたくさんあって、作ってみたいと思ったりもしました。

<双葉社 2021.8>2021.10.28読了