一杯の温かいお茶が、不思議とその悩みに効きますよ。
猫を連れた女性が日本各地で開く「出張カフェ」の物語。
ご当地のお茶、器、お菓子の情報も盛り沢山!
日本全国津々浦々を愛猫のつづみを連れて巡りながら、小さなスペースを間借りしたり、ギャラリーやイベントの一角に招かれたりして、出張カフェ「迷い猫」を営んでいる如月たんぽぽ。占い師としての顔も持つ彼女は、ご当地のお茶、お菓子を出しつつ、訪れる客の悩みを聞いていく。そして彼女自身も各地で「あるもの」の行方を探していた……。
心がほんのり温かくなる癒し系連作短編集。
お茶は身近にあるものなのに、まるで初めて知った飲み物のような感覚でした。分かってはいましたが奥深いですね…。そしての見方も多種多様!そんな飲み方があるのか!と思う方法もあって読んでいて面白かったです。お茶についてもお茶菓子についても依頼先の土地の物を大事にしているのがいいですね。お水もその土地の物っていうのが素敵。
そしてお話の中には落語も登場するのでいろいろ学べます。また図書館の利用の仕方も玄人っぽくて^m^おぉ!と思いました。
連作短編なので少しずつ繋がっているのも面白かったです。
売茶翁という方のこと、初めて知りました。伊藤若冲とお知り合いだったとは!
最近舞台を観に出かけてもこのご時世なので観光はほぼしていないのですが、その土地に根付いた飲み物や食べ物を大事にいただきたいなぁと読んでいて感じました。
最後のお話もとても好きです。
タイトルが気になって手に取った初読み作家さんでしたがとても面白かったです。ほかの作品も読んでみたいと思います。
<PHP研究所 2021.3>2021.10.19読了