どこでもいい。いつでもいい。
一緒に行こう。旅に出よう。人生を、もっと足掻こうーー。
恋も仕事も失い、絶望していたハグ。突然「一緒に旅に出よう」と大学時代の親友ナガラからメールが届いた。以来、ふたりは季節ごとに旅に出ることに。
ともに秘湯に入り、名物を堪能し、花や月を愛でに日本全国駆け巡る、女ふたりの気ままな旅。
気がつけば、四十路になり、五十代も始まり……。
人生の成功者になれなくても、自分らしく人生の寄り道を楽しむのもいい。心に灯がともる六つの旅物語。
文庫オリジナル短編集です!
旅のお供に持って行った文庫本の中の1冊。ぴったりな本でしたね。意図していたわけではないのですが。年を重ねても1年に何度か必ず旅をする友人がいるって素敵です。ナガラがとても素敵な人でした。私も多分どちらかというとハグに似ている気がして。こうして弱っているときに優しい言葉をかけてくれるナガラのような人がいたら良いなぁーなんて思いました。
6つの連作短編で最初は30代だった2人は最後は50代半ばくらいになっているのかな。お互いも年を重ねたけど、周りの家族も同じように年を重ねて。色々ありますよね。
私は1つ目の物語の2人と同じくらいの年齢です。ナガラがハグに最初にいった「もっと足掻こう」という言葉に凄く胸を打たれました。
「足掻く」という言葉を見たとき、トニセンの「不惑」という曲を思い出しました。「赤い血を滾らせたい もう一度」という歌詞とちょっと似てるなと思って。曲のタイトルから色々察してください^^;
私もまだまだ足掻いていたいし、血を滾らせてギラギラと生きてもみたい。
改めてそう感じさせてくれた作品だったと思います。
旅のお供に持って行ったこの本ですが、1日目の目的地に着く前に読み終わってしまいました(笑)一気読みでした。
私も状況は違えど絶望のさなかにいるような気持ちでいて。私は一緒に足掻いてくれる人はいないけど、一人で足掻いて足掻いて生き抜いていきたいなって思いました。ちょっと重いですね…。
今、読めて良かったです。
<文藝春秋 2020.7>2021.9.24読了