仕事を辞め、慣れない育児に奮闘する暁彦は、“ママじゃない”ことに限界を感じていた。そんなとき拠り所になったのが、ある育児ブログだった。育児テクニックをそこから次々取り入れる暁彦だが、妻はそれがつらいと言い……(「わたれない」)。私たちに降りかかる「らしさ」の呪いを断ち切り、先へと進む勇気をくれる珠玉の四篇。
幻想的な物語でした。
初めのお話は現代のもので父親がメインで育児をしている家族の話。父親が育児をすることも当たり前になってきているかと思っていたけど、細々とした偏りはまだまだあるんだろうなと読んでいて思いました。とてもリアル。育児ブログを書かれているペンギンさんとランチをするシーンがとても好きでした。夫婦の関係もなんだかすごく好きだったなぁ。
そして1年に1度しか会えない織女と羊飼いの世界の話に、ウイルスによって生殖機能が失われた近未来の世界の話と幻想的なお話があり、最後は80歳のおばあさんの話。こちらは最初のお話と真逆で夫は仕事人間で家のことは全くやったことがなくて妻にまかせっきり。退職して家にずっといて威張り散らしている。いやだこんな男マジで。おばあちゃんがこれから心穏やかに暮らせると良いなぁと願っています。
<KADOKAWA 2021.8>2021.9.14読了