オススメ!
駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。
あんぱん、クリームパン、チョココロネ。気取っていない顔が並んでいて、見ているだけでほっとするような、そんなお店。
一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。
商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。「自分なりのパン」を見つけないといけないのではないか。創業者のじいちゃんが亡くなって、店名の「コテン」の由来もわからない。
日々迷いながらパン生地をこねる和久のもとには、愉快なお客たちがやってくる。
ヒョウ柄のコートを着込む占い師に、就活に落ち続ける学生、肉バカの肉屋の息子。
人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとは――
しぼんだ心を幸せでふっくらさせる、とびきりあったかな“縁”の物語。
4話からなる連作短編集です。登場する常連さんがどんどん関わりを持って行く感じがとても好きでした。
どのお話も好きだったけど、1番は「花咲くコロネ」かな。ミユキちゃんに会うために一生懸命勉強をして頑張っている花ちゃんに心打たれました。そして最後の展開に色々驚き^^
創業者のじいちゃんが名付けた「コテン」の由来。和久が最後に思った理由で良いんじゃないかなと思います。当たっていても、間違っていても。多分じいちゃんは受け入れてくれると思います。
この本を読んでいたら、無性にカツサンドがたべたくなりました。チョココロネもいいな。カレーパンもいいな。
素敵な作品に巡り合えました。この作品がデビュー作とはびっくりです。
<ポプラ社 2020.7>2021.8.26読了