ひきなみ
千早 茜
KADOKAWA
2021-04-30


私たちずっと一緒だと思っていたのに。彼女は脱獄犯の男と、島から消えた。
小学校最後の年を過ごした島で、葉は真以に出会った。からかいから救ってくれたことを機に真以に心を寄せる葉だったが、ある日真以は島に逃げ込んだ脱獄犯の男と一緒に島から逃げ出し、姿を消してしまう。裏切られたと感じた葉は母に連れられ東京へ戻るが、大人になって会社で日々受けるハラスメントに身も心も限界を迎える中、ある陶芸工房のHPで再び真以を見つける。たまらず会いに行った葉は、真以があの事件で深く傷ついていることを知り――。女であることに縛られ傷つきながら、女になりゆく体を抱えた2人の少女。大人になった彼女たちが選んだ道とは。

小学生の時は閉塞感が漂う島で生活して、大人になってからは男尊女卑がまだ色濃く残る総合職で仕事をして。葉は父親をはじめとして男の人が苦手な中生きてきたのにどうして職場もそういうところを選んだのか、私は不思議でしょうがなかったです。やりたい仕事だったのかなぁ。
葉と真以の関係はとても好きでした。お互いのことを大事に思っていて、だからこそ必要以上に詮索しない。大人になった葉も気づいていたけど、真以は決して葉を裏切ったのではないと思います。だからこそ、大人になってもお互いを思いやる気持ちは変わっていなかった。2人がこれからもいい関係を築いていけたら良いなと思います。
物語は良かったけど、私は最初から最後まで読んでいて辛かったです。大人になってからの葉の境遇のくだりは自然と涙が出てきて困りました。
私はセクハラじゃなくてパワハラを受けていたので、それが思い出されたからだと思います。葉は闘っていくことを決めていたけど、私は無理です。逃げることしかできないと思います。もうその職場はとっくに辞めていて、10年以上も経っているのに小説を読んでいてこんな状態になるんだから、私の傷はまだ癒えていないしこれからも癒えないのだろうな…なんてことも思いました。
話は変わりますが、葉の同僚で長野くんが登場しましたね^^どうしてもこの名前だとあの人を思い浮かべてしまうんですけど(笑)今時の若者かと思っていたら割と良い人で良かったです^m^
ところで、真以のお母さんの職業は、著者さんの親友が絡んでいらっしゃるのでしょうか。いらっしゃるのでしょうね。

<KADOKAWA 2021.4>2021.8.3読了