東京ディストピア日記
桜庭一樹
河出書房新社
2021-04-24


作家・桜庭一樹が仔細に記録する2020年1月~2021年1月。分断が進むこの世界で、私は、あなたは、どこにいて何を思考する、誰なんだろう――?
オリンピック延期、和牛券、休業要請、#うちで踊ろう、Zoom飲み会、アベノマスク、ステイ・ホーム太り、自粛警察、極端な選択、2度目の緊急事態宣言……誰もが経験したはずなのにもう忘れている、あの時の暮らし、憤りや心細さ。日記を読み、時系列どおりに追体験すると、新たな気づきが次々に見えてくる。すべて現実に起きたこと。コロナ禍の一年間。

この間、コロナ禍の医療現場が描かれた小説を読んで、今度は日常のコロナ禍との関わりみたいな感じですかね。その小説を読んだ後だったので、やっぱり身近にあるものと漠然と存在しているものとでは捉え方が違うんだなぁと思ったりしました。
桜庭さんの意見も書かれていますが、そのころにあったニュースも細かく書かれていて、そういえばそんなこともあったなぁと思いだしながら読んでいました。
それにしても桜庭さんは結構出歩いてますねー^^;お仕事は家ではなくて喫茶店とかお店でやるタイプの方なのかな。デフォーが書いた「ペストの記憶」の主人公を思い出しましたよ。
桜庭さん、たぶん小柄で華奢な方だからか続けていきなり怒鳴られて、怖かったですよね。対人ではなく、対女子供として見られている。という言葉がとてもリアルでした。でも、迷彩の帽子をかぶってサングラスをして黒いマスクをしたら怒鳴られなくなったってただ怒鳴り散らす奴ってちょろいですね←さらに編集者の方が連日怒鳴られたことに対して懐疑的な感じで捉えているのになんだかこっちがショックを受けたんですけど…え、作り話だと思っているの?どこまで本当なのかな…
そして自殺者のことも細かく書かれていたけど「極端な選択」と表現していました。自殺って思いっきり書かれるのも嫌だけど、でも極端っていう表現もあんまり私は好きではないな…と思ったりしました。ごめんなさい。
コロナ禍になり始めのよくわからないもどかしい感じが凄く伝わってきました。でも、今もあまり状況が変わっていないのが残念ですね…。

<河出書房新社 2021.4>2021.6.28読了