29歳、無職。
ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。
音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。
人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。
瀬尾さんらしいやさしくて温かい物語でした。
にしても。宮路は本当にお坊ちゃんで、毎月親から20万をもらって7年も特に働きもしないで生きてこられたんですからいい気なもんですよねー←
渡部の言うことが本当に正論で1ミリも狂いがなかったですよ。そして渡部が中学生の時の話をするからニヤニヤしてしまいましたよね。
「あと少し、もう少し」で登場した渡部君ですね。立派な大人になって…!って、正直鮮明に覚えているわけではないのですが。でもこういう喋り方だったよねーとうっすらと思いだしたりはしました。そしておばあちゃんと一緒に暮らしていることも。おばあちゃん、お元気そうで何より。
宮路を呼び止め「ぼんくら」と呼んであれこれ買い物を頼んだ水木のおばあちゃんは、初めに宮路のことをどこまで気づいていたんだろう。宮路が変わったきっかけは、渡部のサックスもあるけど、水木さんの存在が大きかったですよね。手紙には泣きました。宮路がみんなの目線で聞こえるように気を遣って話しかけているのは読んでいて感じていました。それをちゃんとわかってくれた水木さん。2人はお互いに数か月だけど交流できて本当に良かったなぁと思います。
そして本庄さんと練習した「心の瞳」この曲、合唱曲だと思っていたのですが坂本九さんの歌だったんですね。知りませんでした。この曲、私は学生の時歌ったことはないのですが印象的な思い出があります。1998年か1999年。「学校へ行こう」の企画で産休に入る音楽の先生のために、学生たちがサプライズで歌を披露するんです。それがこの「心の瞳」でした。先生が指揮をしてみんなが歌って。みんなが涙を流しながらでもしっかりと歌っていたのをすごく覚えています。当時、学生さんたちと同世代だったからなおさら印象的だったのかな。その時に初めて聞いて、なんていい歌なんだろうって思ったんですよねー。20年以上前の思い出を思い出させてくれてありがとうございます(笑)まあ、私はテレビで見てただけなんですけど(笑)
宮路も最後に前に踏み出せて良かったです。前途多難そうですけど。でも、宮路なら大丈夫。
良い読後感でした。読んでいるこちらも温かくて幸せな気持ちになれました。
<集英社 2021.2>2021.6.23読了



私はこの本のあとに「あと少し、もう少し」を読んだのですが、中学時代の渡部くんがすごくツンツンしていて、なんだかにやっとしてしまいました。渡部くんのおばあちゃんがお元気そうで、本当よかったです。