黒鳥の湖
宇佐美まこと
祥伝社
2019-12-11


拉致した女性の体の一部を家族に送り付け楽しむ、醜悪な殺人者。突然、様子のおかしくなった高校生のひとり娘。全ては自らが過去に犯した罪の報いなのか―!?推理作家協会賞受賞作家が、人間の悪を描き切った驚愕のミステリー!

初読み作家さんです。一気読みでした。続きが気になって気になって、読む手が止まらなかったです。
いやー…何から話せばいいんだろう^^;いろんなことがありすぎて、どこから話していいのかわからない。
主人公である財前彰太の過去。18年前に施したある”細工”。財前は現在世間を騒がせている事件をテレビで見て、自分が過去に犯した罪に対して罪悪感を抱え、最愛の一人娘がその被害に遭ってしまうのではないかと恐怖にさらされます。そこで18年前に起きた事件について調べ始めます。
この作品の中で登場する「自因自果」という言葉。まさにそれがこの作品のすべてだったと思います。
彰太、由布子、大黒様、若院、そして彰太の周りの人たちみんなが。
彰太が専務を信用しまくっていて、娘の美華のことが気がかりで仕事が手につかなくなった時、頼りすぎてて大丈夫かなぁと思っていたんですよねー。やはりそうでしたか。
そこは予想がついたんですけど、それ以外の怒涛の展開はなんかこちらも色々思考が追いついていきませんでしたよ。目まぐるしすぎる…!
娘の美華に関してはもうよく生きることを投げ出さないでくれた。としか言えない。純粋だからこそ悩んで悩んで反抗することしかできなかった。純粋で頭がいいからこそ色々考えてしまったのかな。いい友達に巡り合えてよかったです。
そして若院と大黒様ですよ。新興宗教なのかと思ったけどそういうわけではなかったんですね。割と早めにもしかしたら…と思っていたんですよ…いやーマジですか。いやそんな気はしてたんですよ。いやーそうですか←
大黒様の正義、若院が求めた愛情。本当に「正しいものと邪悪なものは背中合わせで存在する」のだなと思いました。2人は歪みすぎてこじらせてる感じでしたけど^^;
彰太は社長には向いていなかったのかもしれないですね。由布子と美華と家族で良いことも悪いことも分かち合いながら仲睦まじく生きていってほしいなと思いました。もう一つの家族とも。
にしても健君は若院を演じるんですね。確かにこれまでになかった姿を見ることが出来るのかなと思います。とてもとても楽しみです。

<祥伝社 2019.12>2021.5.7読了