小説『火の鳥』大地編 (下)
桜庭 一樹
朝日新聞出版
2021-03-05


間久部緑郎の義父で、三田村財閥の総帥でもある要造は、猿田博士が手にした強力な自白剤により、みずからの来歴を緑郎ら「火の鳥調査隊」に語り始める。
そこで明かされたのは、火の鳥には現代の科学では考えられない特殊な力が存在しているという驚くべき事実だった!
すでに日本国政府は、要造率いる秘密結社「鳳凰機関」の協力のもと、火の鳥の力を利用し、大東亞共栄圏に向けて突き進んでいるという……
国家のためか、あるいはみずからの欲望のためか。
戦争に邁進する近代日本の姿を描きながら、人間の生と死、愚かさと尊さを余すところなく描いた歴史SF巨編。

後編は怒涛でしたね…。要造の語りがとにかく長かった…。マリアの過去もすさまじかったけど、こちらもすごかったな…。まあ要造の場合は自業自得なのだけど。奥さんである夕顔が本当に素敵な奥様だったんだな…ということがわかりました。どの過去が今のルートかよくわからなくなっていったけど、死に目に会えたんだよね…?
火の鳥の秘密を知ると、その魅力に憑りつかれるのだということがよくわかりました。緑郎の豹変ぶりもそうですし、博士も理性と闘っていましたし…
上巻で抱いた印象と1番変わったのは麗奈でしたね。強い女性でした。憑りつかれることなく役目を全うしている姿は美しかったです。
この作品を書く上で大陸の各地を巡られたそうですね…。
私も一緒に旅をしているような気持になりました。
桜庭さんの作られた世界を堪能しました。面白かったです。

<朝日新聞出版 2021.3>2021.4.15読了