そこに工場があるかぎり
小川 洋子
集英社
2021-01-26


作家小川洋子氏による、おとなの工場見学エッセイ。
あのベストセラー『科学の扉をノックする』の工場版ともいえる本です。
幼いころから変わらぬ小川さんの好奇心と工場愛がじわじわ心にしみて、今、日本のものづくりに携わる人々と、繊細で正確な数々の製品のこと、あなたもきっと、とても愛おしく思うようになるでしょう!
<目次>
細穴の奥は深い (エストロラボ<細穴屋>)
お菓子と秘密。その魅惑的な世界 (グリコピア神戸)
丘の上でボートを作る (桑野造船)
手の体温を伝える (五十畑工業)
瞬間の想像力 (山口硝子製作所)
身を削り奉仕する (北星鉛筆)

小川さんが見学された工場はどれも興味深いものばかりでした。
特に1番最初が簡単に言うと穴をあける仕事!穴を開けるとは?と興味をそそられました。
一言で穴を開けると言っても大きさも形も深さも色んなパターンがあって色んな技法があるんですよね。特にこちらの会社は女性の社長さんで、女性が働きやすい環境を作ることが目的だったそうです。素晴らしいです。
保育園の子供たちが大きな籠のようなものに何人も乗ってお散歩している光景は私も何度か見たことがあります。あれはサンポカーって言うんですね。知りませんでした。
鉛筆の作り方も知らなかったからビックリしました。
この作品を読んで、工場見学に行ってみたくなりました。でも、このご時世難しそうですね…。取材されたのはコロナ禍の前。現在はどうされているのか読みながら気になっていましたが、あとがきで書かれていました。やはり皆さん大きく売り上げが落ち込んだようですが、だからと言って気落ちせずに今の時代に合った商品を考えたり、売り方を考えたり、とても前向きでそれもとても素敵だと思いました。
何気なく使っているものが一人一人の考えによって、手によって生まれている。そう考えると何もかもが愛おしく感じます。物を大事にしようと思いますよね。読んで良かったです。
そして現状の諸々が収束したら、外に出て色んな世界を知りたいと思いました。

<集英社 2021.1>2020.3.1読了