犬がいた季節
伊吹 有喜
双葉社
2020-10-14


オススメ!
ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとは―。最後の共通一次。自分の全力をぶつけようと決心する。18の本気。鈴鹿でアイルトン・セナの激走に心通わせる二人。18の友情。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件を通し、進路の舵を切る。18の決意。スピッツ「スカーレット」を胸に、新たな世界へ。18の出発。ノストラダムスの大予言。世界が滅亡するなら、先生はどうする?18の恋…12年間、高校で暮らした犬、コーシローが触れた18歳の想い―。昭和から平成、そして令和へ。いつの時代も変わらぬ青春のきらめきや切なさを描いた、著者最高傑作!

高校で暮らすことになったコーシローとその高校の生徒たちの物語です。
始めの章は昭和63年。最初に登場した優花と光司郎の物語が1番印象に残っています。親は戦争を知っている世代で祖父母は明治生まれ。男女雇用機会均等法が施行されたけど男尊女卑の感じが残る優花の家庭は読んでいても息が詰まる感じがしました。でも時代だからしょうがないのかな…そう考えたらお父さんはかなり柔軟な考えを持っていて良かったです。この2人が一緒にいる時の雰囲気がとてもよくて、最後が切なかったな…。この時代は私は一応生まれていますけどこんな時代だったんだな…と思いながら読んでいました。
次の章の五月と相羽も面白かったですね〜おバカで^^私はセナの現役を知らないので、当時の男の子はきっとこんな感じで夢中だったんだろうなーと思いながら読んでいました。
第3章からは自分がその時どうしていたかを回想しながら読んでいました。特に1995年は年の初めに色々ありましたから…。テレビを見ていて天災も事件もどちらも怖かったです。
私の高校時代とは被っていなかったのですが、平成の時代を回想できて良かったです。それに、歴代の高校生たちは時代が違えど皆色々悩みは抱えているし、でもまっすぐで眩しかった。
更に現代になっての最後なんですかー!!優花も光司郎もたまに登場していたのでやきもきしていたんですよ。なんですかもう!←
完璧に忘れ物を見つけ出せてよかったね!最後はこちらまで笑顔になりました。
優しい物語でした。読めて良かったです。ありがとうございました。

<双葉社 2020.10>2020.11.21読了