自転しながら公転する
山本文緒
新潮社
2020-09-28


東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

山本さんの新刊、7年振りなんですね…。「なぎさ」からそんなに経つんですね。
主人公と年が近いし、思い悩むところも似ているところもあったりして都は何を選択し、どう生きていくのか気になって読む手が止まりませんでした。
それにしても、男の人って女性に対して胸で判断することそんなに多いんすか?(そこからかよ)都に対して不躾で失礼な奴らは本当に失礼でひどい人たちで、都は本当に苦労してきたんだろうなぁ…と思いましたよ。貫一も最初はそうだったみたいだし。雨の日にずぶぬれになってるんだよ。そりゃうわぁ!ってなりますよね←
まあもちろん最初はそうだったかもしれないけど、都自身を好きになっていったと思いますけどね。貫一にも問題があるけど、都にも問題があったと思うなー。絵里やそよかが結構ズバズバと本人に言うから読んでいて気持ちよかったです。特にそよかの意見が私は共感出来たかな。生き方に対する考え方も似てる。
私は貫一の事はどこも好きになれなくて^^;どうしてそんなに好きなんだろう?と首をかしげながら読んでいたんですけど、好きは理屈じゃないんですよね。
プロローグを読んでこれはどうつながっていくんだ?と思いましたが、途中で都の事ではないなと思いました。プロローグのお母さんは結婚式をしていないって書かれていたけど、桃枝はしてたみたいだし。エピローグを読んで誰の事か分かりましたけど、結構言っている方が多いですが、プロローグとエピローグ…必要だったのかな…^^;なくても良かったんじゃないかなと思いましたが…
それでもエピローグで都が言った「幸せになりたいと思わなくていい」って言葉は良かったです。幸せを求めて先ばかり見ていたら目先の小さな幸せに気づかない。それはもったいないですよね。私もそういう傾向があるので気を付けなければと思います。「今」の小さな幸せをたくさん感じていたいです。辛い場面もたくさんあったけど、面白かったです。

<新潮社 2020.9>2020.11.18読了