菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿 (ハルキ文庫 ほ 5-3)
ほしおさなえ
角川春樹事務所
2020-06-15


同じ造りの二軒の家の片方が焼失して十余年。残された“二軒家”は川越の「町づくりの会」によって、昭和の生活を紹介する資料館として改修されることに。片付けのボランティアに参加した守人は、家の声の導きで、天袋に収められた七段飾りのお雛さまを見つける。しかしなぜか、三人官女のひとつが欠けていた。雛飾りの持ち主を探す守人たちは、二軒の家に暮らした家族の想いに寄りそってゆく。過去を知り、未来に向き合う力へと変えつつある守人の歩みを描く。シリーズ第三作。

シリーズを読んでいくうちに知り合いが増えていくのがこちらも読んでいて楽しいです。
今回は守人が今後の自分の生き方を考える回でもありましたね。修士課程も2年目に入ってそろそろ今後の進路も決めていかなければならなくなってきて。既に社会人として働いている同級生も悩んでいるようで、守人も悩みます。
好きだったのは田辺と一緒に川島町を巡った回かな。いきなり家に「モリアキ」と言われてお互いに困惑して、田辺のおばあさんも同じことを言って。でもそれは家の声を聞いていたから。「モリアキ」の正体が分かった時に、何となく予想は出来たとしても鳥肌が立ちました。
守人自身がちゃんと芯がしっかりしている人ですから、きっと大丈夫だと思います。
そしてやっぱり三日月堂がついに登場した時は嬉しかったです。登場したのは弓子ではなかったけど名前は出てきていました。こういう繋がりが読んでいると嬉しいですね。

<角川春樹事務所 2020.6>2020.11.10読了