「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。
友樹、信士、静香、Locoの4人の視点で物語が繋がっていきます。人も繋がっていくので展開が面白くて一気読みでした。
小惑星が衝突して世界が滅びるというあらすじを読んで「終末のフール」を思い出しました。あちらはそれまでの期間が長くて(8年後)散々荒れた後の無風のような状態の時が描かれていましたが、今回は1か月後ということで最初から最後まで荒れてました(笑)いや、笑い事じゃないんですけど。
この物語に登場する4人(5人か)は、世界が滅びると知った後の方が幸せそうでした。そしてもう少し生きたいと願うようになります。いじめられっ子の友樹は心の優しい子でした。同級生のマドンナである藤森さんに小学生の時から恋をしている。でも、スクールカーストの頂点と底辺で釣り合わないと諦めている。こんな温厚な子なのにお母さんがなかなかの感じで^m^読んでいくうちに理由が分かっていきます。マドンナの藤森さんにも抱える深い闇があって、ヤクザの信士も静香もそれぞれの想いがあって。残り1か月で今までの時間を埋めるように過ごしていく生活が読んでいても愛おしく感じました。幸せな家族に見えたと思います。Locoも、自分が幸せだと感じることに最後に気づいて良かった。
でも、ラストが滅亡だったのかはわかりません。生き延びることが出来て未来を再び紡いでいってほしいと思いました。
更に初回限定?で収録されていたイスパハンも素晴らしかった。友樹と雪絵が未来でもずっと仲良くいられますように。
<中央公論新社 2020.10>2020.10.29読了
おっしゃるように最初から最後まで世界は荒れてましたけど(笑)友樹たちは幸せな日々だったと思います。
本当に生き延びていてほしいですね。私も友樹と雪絵はずっと仲良しでいてほしいです。
スピンオフもよかったです。とてもほっこりしました。