神さまのビオトープ (講談社タイガ)
凪良 ゆう
講談社
2017-04-20


うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは?機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。

幽霊の夫と暮らすうる波と、生活していく中で知り合う人々との交流を描くオムニバス形式です。凪良ゆうさんの作品を読んでいると「普通」ってなんだろうって考えさせられます。
色んな愛の形があって、それは他者から見ると異常でも、本人にとっては真剣で真っ当な愛であったりする。
佐々と千花の恋愛が1番歪んでいる気がしました。中学生の時から7年付き合っていているのが当たり前で、だからこそ千花の愛は悪い方向へ向かってしまったのかな…と思いました。
春くんと秋くんとの交流がとても好きでした。うる波の関わり方がとても良かったです。
立花さんと安曇くんに関しては時間が解決するんじゃないかな。いつか2人がお互いに想い合っていることにちゃんと気づけると思います。その時が楽しみですね。にしてもただの熱血漢だったあの先生は何だったんだろうか…
「普通」に考えたら同じように年を重ねられない幽霊と一緒に暮らすなんて異常かもしれない。でも、想うことは自由だ。恋愛は自由。最後が少しドキッとしたけど2人はそれでいいのだと思いました。それで2人は心から幸せなのだからそれで良いんですよね。

<講談社 2017.4>2020.10.19読了