推し、燃ゆ
宇佐見りん
河出書房新社
2020-09-10


推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。

巷で噂になっていた^m^本作を読みました。
あー…痛い痛い。胸が痛いよー。心が抉られました。
主人公のあかりはアイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注いでいる。アルバイト代を全て推しにつぎ込み、生活の全てを捧げている。でもだからと言ってお近づきになりたいとか恋人になりたいとかとは違う。推しはあくまで推し。あーわかるー。
帯に書かれていた「病める時も健やかなる時も推しを推す」って言葉が名言過ぎるなと思いました。
私も超絶具合が悪かったけどオーラス行ったことがあるわ…10年以上前なので許して←マスクしてたから。もうしないから…。
推しの一挙手一投足を見逃さず、トークを一字一句聞き逃さず、メモを取り、ブログに起こす。
分かる。分かるよ…。推しは私の背骨…分かる。分かるよ…。
人生の全てを捧げているわけではないけど(いや、捧げてるか?)、でも推しがいるから頑張れるって言うのは凄くあります。自分が辛い時、苦しい時、何よりも救われたのは推しの存在だったから。推しのいない生活なんて考えられない。生きる糧がなくなっちゃう。
長くオタクをしていると「推しは健康で幸せなら良い」と思うようになっていました。でも、この主人公のような状況に陥ったらどこかで幸せであればいいと素直に思えるだろうか…と考えてしまいました。
推しがいなくなった後は余生とあかりは言っていました。私もそう思うけど、でもたぶんあかりとは重みが違うと思います。はっきりとは書いていないけど、あかりは発達障害があって両親はそれに向き合っていません。あかりなりに一生懸命生きているのだと思うけど、周りが当たり前にできることが出来ないもどかしさ、悔しさ、それを分かってくれる人が身近にいないから、少し遠くにいる推しにすべてを捧げてしまう心情も分かる気がします。
最後はあかりの今後が気になって終わってしまったけど、推しを心に抱きながら、自分の人生を生きていってほしいなと思いました。
読んで思ったのは、私の推しには25年以上アイドルを続けてくれてありがとうと言いたいです。私の余生はまだまだ先になりそうです。私は幸せです。
とりあえず私の推しのメンカラが青じゃなくて良かったです^^;青だったらもっと心をえぐられていたと思います…。

<河出書房新社 2020.9>2020.10.5読了