3年に1度開かれ、若手ピアニストの登竜門となっている芳ヶ江国際ピアノコンクール。かつて天才少女と呼ばれて将来を嘱望されたが7年前、母親の死をきっかけに表舞台から消えた亜夜は、このコンクールに再起を懸ける。その一方、岩手の楽器店で働きながらこれを最後のコンクール出場と決めたサラリーマン高島、幼少のころ、亜夜とともにピアノを学んだ、優勝の本命との呼び声が高いマサルらも大きな決意を胸に出場していて……。
ようやく見れました。
原作が大好きで、そしてテーマがピアノコンクールで、原作には音がないけど映画化されるともちろん音が入るわけで、どう言う感じになるんだろうと思いましたけど、音が入るとこんなに映えるんですね。私はクラシックは疎いので、どこがどう凄いって細かく言えないんですけど、とにかく素晴らしかったです。明石の自分は天才じゃないけど、生活感あふれる自分でも音楽家に劣らない音楽を奏でることが出来ると豪語した音がとても印象的でした。「あめゆじゅとてちてけんじゃ」という言葉を大事にした「春と修羅」美しくて1番好きだったかも。桃李君の明石、良かったなー。平凡さもあり、非凡さもあり…。内に秘めている熱いものも伝わってきました。
マサルと亜夜と塵とそれぞれにも抱えている想いがあって、それが上手く映し出されていたと思います。特に亜夜。7年のブランクや母の死、そしてピアノ。今までの人生の事、全てと向き合って未来に向けて闘っているようなそんな感じが凄く伝わってきて、まさにあの場にいるのは亜夜でした。素晴らしかったです。特に最後の本戦での演奏は何だか憑き物が落ちたような…本来の天才少女と言われた亜夜が一皮むけた姿が見れた気がして演奏を聴いていたら涙が止まらなくなりました。
塵役の人はこの作品でデビューだったんですよね。ちょっとたどたどしい感じが塵と合っていた気がします。
原作は500ページの大作だから2時間にまとめるのは大変だったと思いますが、素晴らしかったです。
ただ、私は明石が菱沼賞を受賞した時の映像が見たかったなと思っていたので、そこだけが残念でした。
やっぱり音楽は良いですね。しばらく余韻に浸れます。