白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現れる“少女”の都市伝説とは?物に触れると過去が見える、不思議な能力を持つ散多。彼は亡き両親の面影を追って、兄とともに古い「タイル」を探していた。取り壊し予定の建物を訪ねるうち、兄弟はさらなる謎に巻き込まれて―。消えゆく時代と新しい時代のはざまで巻き起こる、懐かしくて新しいエンタテインメント長編。再開発予定の地方都市を舞台にした、ファンタジックミステリー。

纐纈太郎と散多の兄弟は早くに両親を交通事故で亡くし、父方の祖父母に育てられました。
弟の散多には物に触れると過去が見えるという不思議な能力があります。恩田さんがこうした能力を持つ人を書かれると「常野物語」シリーズを思い出しますね。
この作品は新聞での連載だったそうですが、なかなかスキマワラシは出てこないし、とある出来事についても最後だし、思わせぶりが凄いから連載を読んでいる間読者はヤキモキしていたでしょうね^m^
私も続きが気になってとても分厚かったですがあっという間に読んでしまいました。もったいない…
太郎と散多で両親の面影を追っている姿も気になりましたが、醍醐覇南子と出会ってからの怒涛の展開もまた面白かったですね。3人の関係が最後に明らかになるのですがそういうことだったのか!と納得。
少女のいう「ハナちゃん」は覇南子の事ではないと思うのだけど、想いが遂げられて良かったんですよね。この3人の関係はきっとこれからもいい形で続いていくんだろうなーと思います。覇南子の「サンタ君」という言い方が何だか凄く好きでした。

<集英社 2020.8>2020.9.15読了