透明な夜の香り
千早 茜
集英社
2020-04-03


オススメ!
元書店員の一香がはじめた新しいバイトは、古い洋館の家事手伝い。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染みの探偵・新城と共に、完全紹介制の「香り」のサロンを開いていた。亡き夫の香りを求める女性の依頼や、匂いを手がかりに行方不明の娘を探す案件など、風変わりなオーダーが次々に舞い込んで―。

私は割と香りには敏感な方だと思います。でも、朔のようにあまりにもわかりすぎるというのは生きづらいだろうなと思います。
調香師という仕事はテレビで拝見したことがあるような気がしますがとても繊細な仕事ですよね。
そして自分の体調にも気を遣わなければならない。大変な仕事だと思います。
始めは一般企業に勤めていた朔。でも、あまりにも香りが分かってしまうために耐えられなくなりオーダーメイドの香りを作るサロンを経営し始めた。
ある事情により働けなくなった一香は簡素な求人広告を見て朔が営むサロンへアルバイトにやってきます。心の病気だったから感情の起伏が大きくなく、表情もないから朔にとって良かったんでしょうね。
でも、少しずつ回復していく一香に対して朔の方が動揺し始める。読んでいる側は分かるのに当の本人たちは分かっていない。やきもきする展開でした^m^
不躾な新城が始めは嫌いだったけど、新城は感情が表に出て分かりやすいし、なんだかんだで朔の事を心配しているし一香ちゃんと呼ぶようになってから一香の事も認めているような気がして段々可愛く見えてきました←
読んでいるだけなのにいろんな香りを感じるような物語でした。
朔も一香もそして新城も、それぞれが幸せを感じられるようになりますように。

<集英社 2020.4>2020.6.28読了