「うちのカレー」には、人それぞれの大切な想いがつまっている―近所の猫に手をひっかかれた二三の手は、パンパンに膨れ上がってしまい…(「うちのカレー」)。調理師試験が近づき、万里は、なんと三人から湯島天神のお守りをもらったが…(「漬丼の誓い」)など、佃「はじめ食堂」を舞台にした、笑って泣いての人情小説。カレーの他にも、焼き魚、牛丼、ハンバーグなど、なつかしく、ほっとする料理の数々と温かな心遣いが、あなたをお待ちしています。続々重版の大人気シリーズ、第七弾。(巻末に著者のレシピ付き)
シリーズも第7弾になるんですね。今回も色々なお話がありました。
万里はいよいよ調理師試験に挑戦します。会場へ行く前にちょっとした出来事に遭遇します。
若者の部類に入る万里が、老人に怒鳴りつけられたことで仕返しのような形を取ってしまった若者に、アドバイスを送ります。はじめ食堂に来たばかりの頃の万里の事は忘れましたけど^^;ここで働くようになって万里は本当に変わったんだろうなーと思いました。3人の女の子からお守りをもらうなんて万里モテますね^m^
そして、多分読んだ方皆さんが気になったであろう高齢者運転免許返納問題。最後の展開は若干もやもやが残りましたねー。あれで良かったのかな…
1番はやっぱりメイとお祖父ちゃんのお話でした。トランスジェンダーは育て方が悪かったとかそういう問題ではないのだけど、高齢者にとってはなおの事、受け入れがたいものなんでしょうね。それでも、祖父が怪我をしたことでお味噌汁を毎日作って送るメイちゃんは本当に本当に良い子だなと思いました。それこそ祖父母がこんな素敵なお嬢さんに育てたんだよなぁと何だかうるっとしました。
毎回、その時の世相も取り入れているこのシリーズ。コンスタントに刊行されていますが、現状の事もいつかきっと書かれるのかなぁ…どうするのかなぁ…なんて今から考えています。
今は先が見えないトンネルの中にいるような感じですけど、次回作が出る時には、そんなこともあったね、大変だったよね。と、過去のことのように話せるようになっていたらいいなぁと思います。そうなっていなければ困るんですけど…。
<角川春樹事務所 2020.2>2020.4.23読了